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映画感想「タクシー運転手 約束は海を超えて」

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1980年に韓国で起きた「光州事件」について描かれた映画で、とても評判が良くて見たかった作品です。
好きなソン・ガンホ、ガンちゃんが出ているので期待しました。
期待を裏切らない素晴らしい作品でした。

近所で上映がなかったので当時は見られませんでしたが、そのころにちょうどNHKの「アナザーストーリーズ 運命の分岐点」という番組(エリカさまがナビゲーターしているアレですね!)でこの映画が取り上げられ、光州事件の内容に迫っていました。

映画のストーリーは、一介のタクシー運転手である、ガンちゃん演じるキム・マンソプが、生活のためにとある外国人記者を光州まで乗せることになり、そこから光州事件に巻きこまれていくのです。
これが実話というから驚き。もちろん、事件は実在の事件ですが、キャストも実在の人物をモデルとしているというのです。

そのとき光州内部で起きていることは、報道規制がかかっていた為に外部には漏れておらず、マンソプも何も知りません。
いざ光州に入って見ると、想像を絶する事態になっていて困惑しますが、行動を共にする学生にその理由を訊いても、学生も「自分もなぜこうなっているのかわからない」と答えます。
観ているワタシも、なぜこんなひどいことになっているのか、気になりながらもそれは解明されることもなく、ただただ惨状が描かれているのですが、言葉を失う事態となっていました。

最初は、正直に言えばお金のためにこの仕事を引き受けた(横取りまでした)マンソプであり、できれば余計なことにはかかわらずに、一刻も早く娘の元へ(父娘2人暮らし)帰りたい、と思うのですが、自分の関わった無辜の市民のために、次第に自ら協力していくのです。
ガンちゃんってこういう役が多いし(「殺人の追憶」とか「観相師」とか「弁護人」とか)すごくハマっています。
ガンちゃんだからこその説得力というか、人間にはいろんな面があるとはっとさせられます。
かといって、特別なことをするでもない(いやいや、自分にはとてもできませんが!!)、タクシー運転手としての使命を果たす、つまりは、客を乗せて目的地まで連れていく、という、それ以外の何物でもない辺りがとてもカッコよくてにくいのです。

脇を固めるユ・ヘジンやリュ・ジョンチョルも愛しく思える、というか、感情移入しすぎて(^-^;
ユヘジンなんてどうして好きにならずにいられようか、というキャラです。
いままでも、味のあるキャラで印象的な役者さんでしたが、今後はもう絶対に好き!確立しました(笑)

歴史的事実にも果敢に向き合っている所ももちろん良いのですが、韓国ならではの、権力との攻防や、カーチェイスシーンもあり、また「情」も描かれていて泣かされもし、ドキドキハラハラさせられる部分も満載で、ともかく全編くぎ付けになりました。


当時の韓国は軍事政権下で、徹底的に報道が規制されていましたが、その恐ろしさというか、報道の大切さを実感しました。
危険な紛争地帯などにいって、自ら危険な目に合うジャーナリストを、今日では「自業自得」「自己責任」という風潮が蔓延しているようですが、そういう人たちがいない場合、その地域に何が起きているかを、世間は知る手立てがありません。
対岸の火事というか、自分に関係ないことは知らなくてもいいというか、無関心主義というか。
けれども、報道って大切だと、この映画を見てつくづく思わされました。
身を張って報道したジャーナリストやガンちゃんのモデルになった運転手の行動には頭が下がりました。



ところで、光州事件って何か。NHKの番組を見て聞きかじったことをぺたぺたします。

光州事件が起きたのは1980年の5月18日から27日の10日間。
当時、陸軍中将がチョン・ドファン。このひと、のちの韓国大統領ですね。
かれがクーデターを起こしたのが、光州事件の半年前だそうです。

ちなみに、1980年というと、日本ではタケノコ族が流行していた時代でした。
私は高校生。お隣でこんな事件が起きていたなんて知らず、高校生活を地味に送っていたはずです。

チョン・ドハンはクーデターの成功で大統領の座は目前でしたが、かれには強力なライバルがいたそうです。
それが、民主主義化運動のリーダー、キム・デジュンでした。
かれの出身地が光州に近かったために、光州では民主化運動、キムデジュンの支持が熱かったそうです。
また、近代化から取り残された不満も民衆にはあったとか。

光州では学生を中心に民主化運動が展開されていて、光州事件の4日前には大学生の大きな集会が開かれたそうです。
政府は警戒し、戒厳令を強化して、若者をターゲットに取り締まりをしたようです。

それがやがては、学生VS軍隊となっていった。
そんなところへ、マンソプは巻きこまれていったんでしょうね。
リュ・ジョンチョルの演じたジェシクは、運動に身を投じながらも、なぜこんな事態になっているか、わからないと言いました。
あとからきけば、そういうことだったんだなと思うのですが、当時者たちには何が何やらわからない、そんなところだったのかもしれません。

政府、軍の民衆への弾圧はすさまじいです。
これが、軍事国家なのかと、慄然とさせられます。
結果的に150人以上の死者が出たそうです。
その中には、リュ・ジョンチョルの演じたごく普通の学生も、ユ・ヘジンの演じた普通の光州のタクシー運転手も含まれていたことでしょう。
そしてこの一件をきっかけとして、韓国の民主化は決定的に進んだそうです。


この軍の鎮圧作戦に参加していた人物が「アナザーストーリーズ」のインタビューで当時のことを語っています。

「ほんとうに怖かった。
 その場にいなければわからない怖さです。
 みんな狂ってしまった。
 みんな狂ってしまった。」

人間て、自分で自分の行動を制御できると信じてるのかもしれませんが、その場になったら何をするかわからない生き物なんですよね。そこの自覚が欲しいところです。

本当によい映画でした。







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