2018'10.22

カン・ドンウォン主演の『隠された時間』
これはWOWOWの「韓国発ロマンティックラブ」、という特集のうちの1作品。
(ほかは『大好きだから』『ワン・デイ悲しみが消えるまで』)
もうだんぜん、この作品が群を抜いて素晴らしかった。
というか、この特集にかぎらず、本作をめちゃくちゃ好きになりました。
とっても愛しい。
大好きです。
カン・ドンウォンの透明感がすばらしい。
不思議で、切なくて美しくて愛しい、心に残る作品です。
まずはFilmarksにアップした私の感想です↓
映画ならではのファンタジーで、面白いストーリーだなと感心しながら、みるみる釣り込まれて見た。
全編映像と音楽が美しく、とても切ない気持ちになった。
非現実と現実の折り合いがとても自然にできていたと思う。
ソンミンが戻ってからの展開にも現実性があって納得できる。
子どもたちが『7SEEDS』(韓国で翻訳出版されてるのか!)を読んでいたけれど、どこか共通するものがあると思う。そこからヒントを得たのかも?と思った。
カン・ドンウォンは役柄としてのピュアなイメージがぴったりで、スリンを思う気持ちには泣かされた。
とても美しい物語だった。
以下はネタバレを含みつつ語りますので、観てない方はぜひとも、読まずに作品をまずはご覧ください!
私が子どものころ、タツノコプロのアニメ『ポールのミラクル大作戦』というのがありました。
主人公ポールが異世界へ行って冒険する物語(ガールフレンドを探しに行くんです)なのですが、その間は世界の時間が止まっているんですね。ポールが異世界から戻ると、世界の時間も再び動き出すのです。
私も、自分で知らないうちに世界の時間が止まってしまっていたかも?なんて、可愛いことを考えてました(笑)
この『隠された時間』と言う映画はそのアニメを思い出しました(笑)
不思議な卵を割ると、当人(たち)以外の時間が止まる。
不思議な設定でいかにも映画っぽいファンタジーで面白かったです。
ポールはすぐに戻ってきては、また異世界へ行く、を繰り返していましたが、ソンミンたちは10年も20年も(実際は何年たったかわからない。あとでスリンが計算していたけど、その計算も根拠がわからなかったし正しいかもわかりませんでした)その世界に閉じ込められていたんですね。
結果的にはかなりの時間が経過してから元の世界に戻るのですが、それがいつか分からず果てなく感じながら生活していれば、精神的にも疲れ切ってしまいますよね。
むしろ、こんなに長い間よく頑張ったなと思いました。
時間が止まった世界、
ほんとうに不思議で神秘的に描かれていて面白かったです。
・ソンミンは「島の外では普通に時間が流れている」と希望を持ちますが、この場合地球上の世界中も、もしかしたら宇宙も、時間が止まったはず。月が満ち欠けしていたのはソンミンの思い違いじゃないかと思いました(^^;
・水はゼリー状になっていましたが、お風呂やトイレはどうしていたのか?気になりました(^^;
・子ども達が読んでいた漫画『7seeds/田村由美』はシリアスで、あんなふうに笑いながら読む内容ではない(あんまり関係ないけど言いたい)
・自分たち以外のものはすべて重力から解放されているらしい。死んだ友だちを風船みたいに引っ張っていく描写は印象的。でもだとしたら、普通の世界に戻ったときすべてのものに重力を感じ、とっても「重たい」と思ったのでは。
・音のない世界だったから、元に戻って音や動くものが恐怖ですらあったと思われる。
スリンは誰かはソンミンの言うことを信じてくれると思ったんですけどね。
誰も信じないよね。『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』を私が信じなかったように(^^;
スリンが信じたのは、二人だけの文字を使ってソンミンが書き続けた日記のおかげ。
ソンミンにしか書けない。
だから私も今回は「妄想では」と思わずに済みました(^^;
刑事さん達は「作り話」だと思ったんですよね。
そりゃ仕方がない話。
その辺も、妙にリアリティがあって説得力があったなぁ。
これが信じてくれる人があったりしたらウソ臭いですよ。
その後の流れも、まったく「そうなるに違いない」というリアリティがありました。
最後にソンミンはまた時間を止めてスリンたちを助けます。
できれば、スリンと刑事さんを崖の上にでも置いておいたらよかったのにね。
そのほうが重力に反して崖上に戻っているのが不思議だからね。
砂浜で倒れていたこの状態では、海にいったん落ちて、そこで流れ着いた砂浜で生きていた、ってこじつけが利くもの。
それでもあの刑事さんは信じるしかなくなったようでしたけど。
義父との間柄もこの一件でよくなったようで、そこもよかったですね。
ソンミンのラストの顔は白髪交じりで、また20年ぐらい経ったのかな。
まえは友達がいたけど、今度は正真正銘のひとりぼっち。
その20年を想像すると胸がつまりました。
それだけ、スリンを大事に思っていたということ。
スリンのもとへ帰る日が来ることを信じての20年だったと思うと、切なくて愛しくなりました。
このあと、このふたりはどうやって生きていくんだろうかと、ちょっと心配にもなりますが(^^;
傍目に見たら…と、思いますよねぇ。
でもそんなこと言うのは野暮ってものでしょう。
そっと涙を拭いて見守りたい。
そんなものがたりでした。
キャストも映像も音楽もとってもよかったです!