2017'03.05
NHKのドラマ、「お母さん、娘をやめていいですか?」を見終えました。
すごく見応えのあるいいドラマでした。
監修に、信田さよ子さんのお名前を見て、期待できるなと思ったけど、期待通りというか、、期待以上だったかも。
一見娘思いの良い母親に見えて、実は過保護、過干渉、支配的、独善的な母親に育てられている美月が、母親からの自立を目指して葛藤する物語です。
信田さよ子さんと言えば「母が重くてたまらない」など、一連の母娘関係を研究した本を書いておられて、この人の本が出回るようになってから、毒親という言葉が市民権を得たように思います。つまり、親を嫌いでもいい、嫌いと公言してもいい、恨みつらみを口に出してもいいと言う風潮になってきた。
それまでは、お母さんって言うと、サトウハチローの詩にあるような、石川啄木の「戯れに母を背おいて」みたいなイメージで、母親の悪口いうなんてとんでもない、みたいな感じだったかなと思います。
そのイメージを覆したのが、信田さよ子さんだったと、少なくとも私には。
それから、田房永子さんの「母がしんどい」や、小川雅代さんの「ポイズンママ」、遠野なぎこさんの本なども読みましたが、その反響をふくめて、世の中母に苦しめられている娘のなんと多いことか、驚きました。
以下ネタバレ感想です。
全部見終えて、良い結末だったことでとてもホッとしました。
ひょっとしてあの新築した家を燃やすとか・・・誰か死ぬとか(^-^;
そんな陳腐で、やたら残酷な結末じゃなくてよかった(笑)
でも、家族のために家を建てたのに、家を作ることから始まった物語なのに、その家に住まないで家族が離れ離れになってしまうというのが、すごく意味深で皮肉で面白いラストでした。
最終回のサブタイトルは「人形の家」で、斉藤由貴さん演じる母親は、人形作家なので、家にいっぱい人形があることもタイトルの所以でしょうが、やっぱりイプセンの「人形の家」から、(私は未読ですが)女性の自立を描いてあるのでしょうね。
娘である美月だけじゃなく、母親も家を出て、人生をやり直すのです。
本当の、毒親、毒母っていうのは、きっとこんなに簡単には変わらないと思うんです。
でもドラマだから。。希望の持てるラストにしてあって本当によかった。
親子って、一生親子だと思うのです。
でも、こんな風に立ち切らないと、お互いが幸せになれない親子関係も中にはあるんだよね。
それは幸せな親子関係とは言えないのかもしれない。
折々に親にいてほしいことがあるもんね。病気になったり、出産したりとか。
毒親なら今は娘を手放しても、孫ができたらまた同じように固執するかもしれない。
だから美月とその母は。。このまま会わないほうがいいのかな。
だけどいったん吹っ切った美月ママはこの先も「ふつう」のお母さんになって、美月がサポートしてほしいとき適度なサポートをしてくれるといいな。甘えたらあかん??いや、少しぐらい甘えて、迷惑かけても許してくれる、それが親ではないでしょうかね。
そんな親になってほしい。
このドラマは美月の成長物語であると同時に、母親の成長物語でもあったのですね。
じっさい、美月のママだって自分の母親から完全否定される子ども時代を送ってきて、それはそれで本当にかわいそうでした。
むしろ私はママと祖母の母娘関係にすごく同情して泣けてきましたよ。
おばあちゃんは美月には、ママのいないところでママをほめたりかばったりするんだけど、それをどうして本人に言ってあげないの??葛藤を残したまま逝ってしまったおばあさんは、おばあさんにもきっと自分の母親となにかあったのかなと思わされました。
そんな風に自分も親に悲しい思いをさせられたママ、だからと言って毒親になっていいいなんてことはないんだけど。
ドラマ的に、二組の母娘の対比が興味深く、ドラマに奥行を与えていたと思いました。
母娘と言えば、美月の生徒の後藤礼美の母子。この人たちも美月の視野を広げてくれました。
美月はでも、松島と言う人に出遇って、ラッキーだったと思います。
松島はすごくいい人間です。いい男なのよね!
たとえば、学校のことで美月が「自分は教師に向いてない」と悩んでるときに「先生なんか辞めたら?」みたいなことを言う。
でも美月が「そんな無責任なことはできない」と答える。
松島は「じゃあ、向いてなくはないんじゃない?」と言うのです。
美月が家を出て自立しようとしたときもさりげなくサポートしてくれました。
押しつけがましくなくて、温かい男だなーと。ええ男や~~と。
よかったなぁ、こんな人に出遇えてと思いました。
ママの友達の人形作家(麻生祐未)も美月の味方をしてくれたしね。
(しかしこのひと、ママの恋人を横取りしておいて一年で離婚したのではなかったっけ?良い人なんだけど、そんなことがあったのに、友達でいられるものでしょうか。。こないだ見たドラマ「賢者の愛」みたいだ)
ところで松島が最後に自分の母に会いに行ったとき、ひさしぶりの再会にも関わらず、抱き合うこともなく。。
ふたりは和解するのかと思ったけど、こちらも別れを選択していました。
もう二度と会わないという別れです。
松島の母は松島とその父を捨てて男に走ったんだね。
自分が息子を捨てたことで、許されない罪を犯したと思っているんですね。
このまま「たまには会いに来て」となると、松島が結婚して子を産めば「孫を抱く」という至福を味わうでしょう。
でもその資格は自分にはなく、幸せを味わってはいけないと、分かってるんだと思いました。
自分のその姿を見せることで、子どもである松島に、罪を犯した親の末路を見せていたんだと思いました。
こうして考えてみると、このドラマはみんな親子が別れる物語のようです。
松島も傷ついている。美月にぜひとも癒してあげてほしいですね。
父親不在の早瀬家でしたが、父親が果敢に立ち上がり、やっと夫婦の絆を取り戻すことで、親子の関係もなんとかなりました。
美月と顕子だけじゃなく、父親も成長したんですね。
出来すぎのラストでしたが、私はよかった。ホッとできました。
ドラマぐらいほっとしなければ(笑)。逆に悲惨なのも好きだけど(笑)。
また音楽が良かったです。
それから、このドラマ中部地方でのロケが多くて、うちの近くのナガシマスパーランドも登場しました!
セントレアやオアシス21とか、見知ったところが出てきて、最後に松島が母親に会いに行ったのは多分郡上か郡上八幡あたり。
そういうのも面白かったです。娘の知り合いの親戚の家の近所が、美月の家だったとかね(笑)。
長々書いたけど、それだけ語りたくなるようなドラマだったと思います。
実際の自分がどういう娘か、どういう母に育てられたか、そしていま、母として子どもとの関係はどうか、、と言いだすともっと長くなるので思いっきり無視しました(^-^;あしからずです。
あらすじはこちら↓
美月と母親の顕子は親友のように仲良しです。だから美月には友達がいません。友達がいらないのね。ママがいるから。
仕事のことも恋愛もすべて母に相談していっしょに悩んで考えてもらう。母からのアドバイスにいつも素直に従うばかりでした。
で、家を新築しています。家の普請に関しても母娘中心でアレこれ決めて、建築が進んでいきます。
部屋の壁紙や調度品など、自分の好みを押し殺して母に同調する美月。母は自分こそが美月の好みを把握しているとばかりに、自信たっぷりに美月を「誘導」します。二人を見て何かをあきらめているように、すべて任せて口出ししない父親は、実は会社でリストラ候補の憂き目に合っています。
その家の建築業者で責任者の松島は、そんな母娘関係に興味を持つうちに美月に惹かれ、二人は交際することになるのですが、
松島とつきあうことが、自分と母親の関係を見直すきっかけになったことと、仕事の悩みを母よりも松島に相談する方が的確な言葉が返ってくることから、美月の中で母よりも松島の存在が大きくなり始めたのです。
そんな2人を見て、美月の「心変わり」に気づくと、最初は交際を後押ししていた母は、途端に邪魔をし始めました。
美月と母の間に修復できないほどの亀裂が生じ始めます。
だんだんと壊れていく母。
美月はやがて独立することを決意します。
すごく見応えのあるいいドラマでした。
監修に、信田さよ子さんのお名前を見て、期待できるなと思ったけど、期待通りというか、、期待以上だったかも。
一見娘思いの良い母親に見えて、実は過保護、過干渉、支配的、独善的な母親に育てられている美月が、母親からの自立を目指して葛藤する物語です。
信田さよ子さんと言えば「母が重くてたまらない」など、一連の母娘関係を研究した本を書いておられて、この人の本が出回るようになってから、毒親という言葉が市民権を得たように思います。つまり、親を嫌いでもいい、嫌いと公言してもいい、恨みつらみを口に出してもいいと言う風潮になってきた。
それまでは、お母さんって言うと、サトウハチローの詩にあるような、石川啄木の「戯れに母を背おいて」みたいなイメージで、母親の悪口いうなんてとんでもない、みたいな感じだったかなと思います。
そのイメージを覆したのが、信田さよ子さんだったと、少なくとも私には。
それから、田房永子さんの「母がしんどい」や、小川雅代さんの「ポイズンママ」、遠野なぎこさんの本なども読みましたが、その反響をふくめて、世の中母に苦しめられている娘のなんと多いことか、驚きました。
以下ネタバレ感想です。
全部見終えて、良い結末だったことでとてもホッとしました。
ひょっとしてあの新築した家を燃やすとか・・・誰か死ぬとか(^-^;
そんな陳腐で、やたら残酷な結末じゃなくてよかった(笑)
でも、家族のために家を建てたのに、家を作ることから始まった物語なのに、その家に住まないで家族が離れ離れになってしまうというのが、すごく意味深で皮肉で面白いラストでした。
最終回のサブタイトルは「人形の家」で、斉藤由貴さん演じる母親は、人形作家なので、家にいっぱい人形があることもタイトルの所以でしょうが、やっぱりイプセンの「人形の家」から、(私は未読ですが)女性の自立を描いてあるのでしょうね。
娘である美月だけじゃなく、母親も家を出て、人生をやり直すのです。
本当の、毒親、毒母っていうのは、きっとこんなに簡単には変わらないと思うんです。
でもドラマだから。。希望の持てるラストにしてあって本当によかった。
親子って、一生親子だと思うのです。
でも、こんな風に立ち切らないと、お互いが幸せになれない親子関係も中にはあるんだよね。
それは幸せな親子関係とは言えないのかもしれない。
折々に親にいてほしいことがあるもんね。病気になったり、出産したりとか。
毒親なら今は娘を手放しても、孫ができたらまた同じように固執するかもしれない。
だから美月とその母は。。このまま会わないほうがいいのかな。
だけどいったん吹っ切った美月ママはこの先も「ふつう」のお母さんになって、美月がサポートしてほしいとき適度なサポートをしてくれるといいな。甘えたらあかん??いや、少しぐらい甘えて、迷惑かけても許してくれる、それが親ではないでしょうかね。
そんな親になってほしい。
このドラマは美月の成長物語であると同時に、母親の成長物語でもあったのですね。
じっさい、美月のママだって自分の母親から完全否定される子ども時代を送ってきて、それはそれで本当にかわいそうでした。
むしろ私はママと祖母の母娘関係にすごく同情して泣けてきましたよ。
おばあちゃんは美月には、ママのいないところでママをほめたりかばったりするんだけど、それをどうして本人に言ってあげないの??葛藤を残したまま逝ってしまったおばあさんは、おばあさんにもきっと自分の母親となにかあったのかなと思わされました。
そんな風に自分も親に悲しい思いをさせられたママ、だからと言って毒親になっていいいなんてことはないんだけど。
ドラマ的に、二組の母娘の対比が興味深く、ドラマに奥行を与えていたと思いました。
母娘と言えば、美月の生徒の後藤礼美の母子。この人たちも美月の視野を広げてくれました。
美月はでも、松島と言う人に出遇って、ラッキーだったと思います。
松島はすごくいい人間です。いい男なのよね!
たとえば、学校のことで美月が「自分は教師に向いてない」と悩んでるときに「先生なんか辞めたら?」みたいなことを言う。
でも美月が「そんな無責任なことはできない」と答える。
松島は「じゃあ、向いてなくはないんじゃない?」と言うのです。
美月が家を出て自立しようとしたときもさりげなくサポートしてくれました。
押しつけがましくなくて、温かい男だなーと。ええ男や~~と。
よかったなぁ、こんな人に出遇えてと思いました。
ママの友達の人形作家(麻生祐未)も美月の味方をしてくれたしね。
(しかしこのひと、ママの恋人を横取りしておいて一年で離婚したのではなかったっけ?良い人なんだけど、そんなことがあったのに、友達でいられるものでしょうか。。こないだ見たドラマ「賢者の愛」みたいだ)
ところで松島が最後に自分の母に会いに行ったとき、ひさしぶりの再会にも関わらず、抱き合うこともなく。。
ふたりは和解するのかと思ったけど、こちらも別れを選択していました。
もう二度と会わないという別れです。
松島の母は松島とその父を捨てて男に走ったんだね。
自分が息子を捨てたことで、許されない罪を犯したと思っているんですね。
このまま「たまには会いに来て」となると、松島が結婚して子を産めば「孫を抱く」という至福を味わうでしょう。
でもその資格は自分にはなく、幸せを味わってはいけないと、分かってるんだと思いました。
自分のその姿を見せることで、子どもである松島に、罪を犯した親の末路を見せていたんだと思いました。
こうして考えてみると、このドラマはみんな親子が別れる物語のようです。
松島も傷ついている。美月にぜひとも癒してあげてほしいですね。
父親不在の早瀬家でしたが、父親が果敢に立ち上がり、やっと夫婦の絆を取り戻すことで、親子の関係もなんとかなりました。
美月と顕子だけじゃなく、父親も成長したんですね。
出来すぎのラストでしたが、私はよかった。ホッとできました。
ドラマぐらいほっとしなければ(笑)。逆に悲惨なのも好きだけど(笑)。
また音楽が良かったです。
それから、このドラマ中部地方でのロケが多くて、うちの近くのナガシマスパーランドも登場しました!
セントレアやオアシス21とか、見知ったところが出てきて、最後に松島が母親に会いに行ったのは多分郡上か郡上八幡あたり。
そういうのも面白かったです。娘の知り合いの親戚の家の近所が、美月の家だったとかね(笑)。
長々書いたけど、それだけ語りたくなるようなドラマだったと思います。
実際の自分がどういう娘か、どういう母に育てられたか、そしていま、母として子どもとの関係はどうか、、と言いだすともっと長くなるので思いっきり無視しました(^-^;あしからずです。
あらすじはこちら↓
美月と母親の顕子は親友のように仲良しです。だから美月には友達がいません。友達がいらないのね。ママがいるから。
仕事のことも恋愛もすべて母に相談していっしょに悩んで考えてもらう。母からのアドバイスにいつも素直に従うばかりでした。
で、家を新築しています。家の普請に関しても母娘中心でアレこれ決めて、建築が進んでいきます。
部屋の壁紙や調度品など、自分の好みを押し殺して母に同調する美月。母は自分こそが美月の好みを把握しているとばかりに、自信たっぷりに美月を「誘導」します。二人を見て何かをあきらめているように、すべて任せて口出ししない父親は、実は会社でリストラ候補の憂き目に合っています。
その家の建築業者で責任者の松島は、そんな母娘関係に興味を持つうちに美月に惹かれ、二人は交際することになるのですが、
松島とつきあうことが、自分と母親の関係を見直すきっかけになったことと、仕事の悩みを母よりも松島に相談する方が的確な言葉が返ってくることから、美月の中で母よりも松島の存在が大きくなり始めたのです。
そんな2人を見て、美月の「心変わり」に気づくと、最初は交際を後押ししていた母は、途端に邪魔をし始めました。
美月と母の間に修復できないほどの亀裂が生じ始めます。
だんだんと壊れていく母。
美月はやがて独立することを決意します。